ジルママはよく「パパはあたしより鴨を愛してる」などと言う。
別に鴨を愛してはいないが、鴨猟は愛してる。 鉄砲を持って猟野の池をそっと覗いたとに鴨の姿を認めたときは、何度経験しても胸がキュンとくる。
今日び、
40過ぎの大人が胸がキュンとなる遊びができるなんて、なんて幸せなのだろうと思ってしまう。
鴨は鳥猟の主要な獲物であって、現在日本で狩猟が許可されているカモ類はマガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモの11種類である。
この中で1番狙いたいのは、なんといってもマガモである。 池を覗いたときにマガモがいると本当に興奮する。
オスの首があざやかな緑色をしていることから、アオクビとも呼ばれる。 マガモは渡り鳥であり、温暖化が進む近年では、初猟時はまだ近畿にはあまり渡ってこない。
マガモは狩猟可能なカモ類では一番大きく鴨の王者である。 また、大きさもさることながら、肉の味も最高で、臭みがなく鴨特有の薫りがあるので、ご猟場焼きなどのあまり手を加えない料理が向いている。
マガモと並んで体が大きいのがカルガモである。 カルガモは渡りをしないで国内で繁殖するので、日本人に最もなじみのある鴨だ。
カルガモはやや雑食性のところがあって、ザリガニやタニシを食べているカルガモにはややくせがあるが、秋に田んぼの米を食べて脂肪を付けたカルガモは、脂肪のない初猟時のマガモよりはるかに旨い。 解禁から1ヶ月ほどの期間は、カルガモがメインの獲物となる。
カルガモは鍋か鴨南蛮がいいだろう。カルガモのガラからとるダシはマガモより味があるような気がする。
次に狙いたいのがコガモだ。
コガモは名前の通り体が小さく、1羽からとれる肉はマガモの4分の1位。私がコガモを取ってくると、ジルママに鬼とか悪魔とか言われる。(コガモの料理は喜んで食べてるくせに) 確かに肉の量はすくないが、その肉は薫り高く滋味に溢れすばらしい。 コガモを焼き鳥のたれに漬けて、お腹に詰め物をしたものを、オーブンで丸焼きにしたものは酒のアテに最高である。(でも最近はジルがコガモを食す可能性がある事から撃っていない)
ヒドリガモとオナガガモは公園の池などによくいる鴨で、野生でも比較的人に慣れる。 昆陽池にいるオナガは、驚くことに直接人の手から餌を食べるのよ。 しかしオナガガモは猟場の池ではほとんど見かけない。
ヨシガモとハシビロガモは数が増えてきたような気がする。 でもたまにヨシガモを池で見るとマガモと間違えて胸がキュンとなる。(大きさが全然違うんですけど双眼鏡で見ると間違うんですよ。これが)ヨシガモはクセがなく美味しくいただけるのに対し、ハシビロガモは陸鴨の中でも一番クセがあり、どうにも食べる事が出来ないので撃たない鴨である。
可猟鴨のうちホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモは海鴨と呼ばれ、主に海で貝や小魚を食べて暮らしている。
肉食性なので肉に臭みがあり、マリネにしたり牛乳に漬けて臭い抜きをしないとおいしく食べられない。(ホシハジロはまだましかな)
なので、よっぽど猟果が無いとき以外は撃たない。 もっとも野池の鴨猟ではあまり海鴨にはお目にかからないが。
|