ナイフとハサミ

 ナイフは、鉄砲のとともに猟では必須な道具である。ナイフは男にとっても特別な道具で、私も時たま貧相なコレクションを眺めては悦に入っている。

男なら恐らくだれでも一度はナイフに興味を持つが、これが実際に道具として必要で持ち歩いている人達となると、やはり釣師か猟師くらいであろう。(最近はそうでない輩がたくさんいるようだが・・)私も何本かナイフを持っているが、ナイフは使ってナンボと思っているのでラブレスのような恐れ多くて使えないカスタムナイフは持っていない。

さて、普段猟ベストに入れて猟野で使っている刃物はというと、実は写真に写っている料理バサミである。

男ならナイフだろうとか、雰囲気が出ないゾ、などの意見が聞こえてきそうだが(私も同感なのですが)一回ハサミを使ってしまったらその高性能ぶりにナイフが使えなくなってしまった。腸抜きのために小さい穴を開けることもできるし、硬い鴨の頸も一発で切り落とすことが出来る。
何とかとハサミは使いよう、とはよく言ったものでごく普通のステンレス製のキッチンバサミだが、手入れも全く必要なし。
真のヘビーデューティーとは、こういう道具にこそふさわしい呼び名ではないか。(釣り師、猟師の方は一度お試しあれ)

しかし鴨猟にナイフが必要ないか、というとそんなことはない。
砂肝を割るとか、骨から肉を外す、またはイバラを切るといったような作業は、ナイフでないとダメである。

私が猟ベストに入れているのは小型フォールディングナイフで、中学生のときにアメ横で買った物だ。
ステンレスの刃は柔らくすぐ切れなくなるが、小さくて使いやすい。

先を丸めた目打ちは、半矢の鴨を絞めるのに使う。使い方は目打ちを鴨の延髄に刺し込むだけ。
半矢の鴨を回収したら早く楽にしてやらなくてはならないが、今までこれといった有効な方法がなかなか見つからなかった。この目打ちを使うようになって早く確実に鴨を絞める事が出来ている。

 

鹿猟のときは晶之の鍛造ナイフ1本ですべて片付く。青紙鋼の刃は硬く研ぎにくいが、鹿2〜3頭捌いても切れ味が持続する。

 

ビクトリノックス・ハンターとレザマン・WAVEは車に入れていて必要に応じて使っている。両方とも小さなハサミが付いていて便利である。(またハサミか!)

 

ペティナイフは台所で鳥を捌くのに使用している。

 

大物用の3徳ナイフと、プライヤーではなくハサミがメインのレミントン・バードナイフ。猟犬の彫刻が入ったトラウトナイフはカベラスで衝動買いしたものだが、今のところ出番が無い。

 

猟場でのタッチアップはスミスのダイアモンドツールが便利である。
鋼で出来たナイフや鉈は、猟期が終わった後には刀の手入れに使う桐油を薄く塗っておくとさびる心配が無い。

研ぎに使っている砥石は家庭用の人造中砥で、包丁から鍛造ナイフまでこれ一個で十分である。
でもたまに、休みの日なぞに刃物を研ぐときは、天然砥石の仕上げ砥を使い仕上げている。