■ポイント犬の事 |
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ポイントというのは、獲物となる鳥の存在を猟師に伝えるとともに、鳥が這って逃げないように眼で射すくめて動けなくすることである。 ポイント犬がなぜポイントをするのか、ということに関しては諸説あるが、本当のところは良くわかっていないようである。 ポイント犬の東の横綱はポインターである。 ポインターの名前の由来に違わず、片足を軽く挙げた独特のポイント動作は固く、獲物の逃走をゆるさない。成犬では20kg以上になる大型犬で、短い被毛で覆われた体には無駄な肉が無くとても優美だ。 多く使われているのはイングリッシュ・ポインター、通称英ポで明治の昔から愛好家が多い。優秀な犬を作出する繁殖家が多くあり、日本で優秀なポイント犬を手に入れたいと思ったら、英ポにしておけばまず間違いない。捜索レンジが広く、水入りも良く、また鳥だけでなく四足の獲物も追うことが出来るため、オールラウンドに使用できる。 また最近人気が出てきたのがジャーマン・ショートヘアード・ポインター、通称独ポで、大らかで家族思いの性格(家庭犬には向かないとか書かれている本を散見するが、独ポの多くは自制心に富み子供とも仲良くできる性格の犬だ)と、大きな体全体に散りばめられた独特の斑点が美しい犬だ。 |
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一方、西の横綱といえば、やはりセターであろう。 セターの名前の由来は、体が固まったようなポイント動作(setting)から来ている。セッターも20kg以上に成長する大型犬で長い被毛が美しい。 日本で多く飼われているセッターは大きく分けて2種類あるが、実猟で使われているのはイングリッシュ・セター、通称英セである。 英セも英ポと同じく昔から使用されており、スモウ系に代表されるように日本独自に改良されたセターも多く存在している。斑点の散りばめられた長く美しい被毛は、いばらなどから犬体を守る役割を持つ。水に入らなかったり、よく吠えたり、飼い主以外には愛想しないなど多少気難しい犬もいるようだが、性格は概ねフレンドリーで人にも犬にも攻撃性は全く無く、家庭犬としてもうまく適応できる。 セターのもう1種類は赤く長い飾り毛が美しいアイリッシュ・セターだ。 この犬は猟で使用されるよりも、大きな犬体に赤く長い被毛が美しいことから、ショー・ドッグとしての地位を近年確立している。性格はとにかく明るく、いたずら好きで、人が大好きである。 作家のニコル氏がこの犬を愛用していた時のことを本に書いているので、この犬に興味のある方は一度読まれるといいだろう。また、私の祖父がこの犬を実猟で使用していたことは別のページで紹介したが、結構仕事していたようである。私もアイリッシュ・セターは大好きで飼育環境が許せばぜひ飼ってみたい犬である。 |